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新型コロナウィルス感染症へのワクチン開発、今どこまで進んでる?発表論文を簡潔に解説します | 雲の上はいつも晴れ

新型コロナウィルス感染症へのワクチン開発、今どこまで進んでる?発表論文を簡潔に解説します

covid19 医学部・医学関連
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新型コロナウィルス感染症が依然として猛威をふるい続けていますね。

8月19日にはついに、お膝元の大阪での感染者数が東京の感染者数よりも多かったということで、大阪に住む私達の中では大きな話題でした。

さて、そんな感染症がいつ収まるのか…と誰しもが考えていると思いますが、その鍵となると考えられているのが新型コロナウィルス感染症を予防するためのワクチンの開発です。

日本では、大阪大学、大阪市立大学と共同でワクチン開発を進めているアンジェスが、8月18日に大阪市立大学医学部附属病院にて、第1・2相の治験として健常被検者へのワクチン投与を行ったと発表しました。

こちらの治験は来年まで1年がかりで行うとのことです。

ですが、世界ではすでにこの第1・2相臨床試験を終えたワクチンがいくつかあります。

とはいえ、現段階では、どれも一筋縄では行かないかもしれない…というのが正直なところなんです。特に日本ではワクチンの導入は困難を極めるかもしれません。

今回は、現段階での世界のワクチン開発について発表されている論文などをカンタンに紹介しながら、どんな問題が生じうるのかなどを紹介していきたいと思います。

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そもそも治験とは?

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ワクチンのみならず、どんな薬品を開発するためにも必要になるのが「治験」です。「臨床試験」という言い方もします。

治験とは、新しい薬の安全性と効果を確認するための試験となります。なので、薬として有望であると思われたものでも、この治験のタイミングで副作用が発覚したり、以前の薬のほうが効果が優れていることがわかったりすると、開発が中止になってしまうこともあるわけです。

言い換えれば、患者にとって見れば、治験は安全性と有効性を担保してもらうための重要なプロセスです。

治験は、第1相から第3相までの3段階に分けて行います。それぞれの内容としては、ごくごく簡単に書くと、

第1相:安全性の確認

第2相:有効性、用量、用法の確認

第3相:既存の薬などに対し、有効性・安全性を比較する

という3つのステップに分かれています。なので、性質上、1・2相は同時に行うことが多く、先ほど紹介したアンジェスの臨床試験でも第1・2相の臨床試験となっているわけですね。

今回紹介する研究は、どれもこの第1・2相の治験の結果となります。

ということは、今後、この結果に基づき第3相の臨床試験を行うことになる、ということは念頭においていただきたいです。

それでは、実際の論文を見ていきましょう!

紹介論文その1:アストラゼネカと英オックスフォード大学のワクチン

まずご紹介するのは、イギリスのオックスフォード大学と製薬会社であるアストラゼネカが開発したワクチンについての臨床研究です。

こちらは、The Lancetという超一流医学雑誌に掲載されたもので、第1・2相の研究結果について報告しています。

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Folegatti PM, Ewer KJ, Aley PK, et al. Safety and immunogenicity of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine against SARS-CoV-2: a preliminary report of a phase 1/2, single-blind, randomised controlled trial [published correction appears in Lancet. 2020 Aug 15;396(10249):466]. Lancet. 2020;396(10249):467-478. doi:10.1016/S0140-6736(20)31604-4

こちらの論文で現在話題となっているのは、この論文で報告された副作用についてです。

最も多かった副作用は「全身倦怠感(だるさ)」で、被検者の約7割が感じたとのことでした。

また、それ以上に気になるのは、頭痛と局所痛についてです。予防的にアセトアミノフェン(消炎鎮痛剤)を投与していても、6割が頭痛、5割が局所痛を訴えたとの報告です。

(英語は読まなくてもいいですが、一応本文も掲載しておきます)

Fatigue and headache were the most commonly reported systemic reactions. Fatigue was reported in the ChAdOx1 nCoV-19 group by 340 (70%) participants without paracetamol and 40 (71%) with paracetamol and in the MenACWY group by 227 (48%) participants without paracetamol and 26 (46%) with paracetamol, whereas headaches were reported in the ChAdOx1 nCoV-19 group by 331 (68%) participants without paracetamol and 34 (61%) with paracetamol and in the MenACWY group by 195 (41%) participants without paracetamol and 21 (37%) participants with paracetamol.Other systemic adverse reactions were common in the ChAdOx1 nCoV-19 group: muscle ache (294 [60%] participants without paracetamol and 27 [48%] with paracetamol), malaise (296 [61%] and 27 [48%]), chills (272 [56%] and 15 [27%]); and feeling feverish (250 [51%] and 20 [36%]). In the of ChAdOx1 nCoV-19 group, 87 (18%) participants without paracetamol and nine (16%) participants with paracetamol reported a temperature of at least 38°C, and eight (2%) patients without paracetamol had a temperature of at least 39°C. In comparison, two (<1%) of those receiving MenACWY reported a fever of at least 38°C, none of whom were receiving prophylactic paracetamol (figure 1appendix pp 5–7).

Folegatti PM, Ewer KJ, Aley PK, et al. Safety and immunogenicity of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine against SARS-CoV-2: a preliminary report of a phase 1/2, single-blind, randomised controlled trial [published correction appears in Lancet. 2020 Aug 15;396(10249):466]. Lancet. 2020;396(10249):467-478. doi:10.1016/S0140-6736(20)31604-4

つまり、2人に1人は何らかの副作用を訴えるということになります。

厚労省はアストラゼネカとは基本合意に至ったとの報道がありましたが、このワクチンが日本で投与されるとなれば、かなり綿密な情報開示とリスクコントロールが必要となるといえるでしょう。

紹介論文その2:中国のシノファームによる不活化ワクチン

一方、次はシノファームという中国の製薬会社が開発しているワクチンについてです。

こちらの治験の第1・2相については、JAMAというこれまた一流医学雑誌に報告されています。

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Xia S, Duan K, Zhang Y, et al. Effect of an Inactivated Vaccine Against SARS-CoV-2 on Safety and Immunogenicity Outcomes: Interim Analysis of 2 Randomized Clinical Trials [published online ahead of print, 2020 Aug 13]. JAMA. 2020;10.1001/jama.2020.15543. doi:10.1001/jama.2020.15543

こちらについては、副作用も少なく、免疫獲得もじゅうぶんであったと報告されています。ただ、まだ長期的な免疫効果の持続については評価できておらず、第3相の試験で評価するとしています。

ワクチン開発・導入における懸念

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このように、イギリスや中国に比較すると、日本のワクチン開発はかなり遅れているような印象を受けるかもしれません。

しかしながら、ご覧いただければ分かる通り、現在、どちらの論文についても長期的な効果や副作用という観点では評価はまだなされていない、とも言えるのではないかと考えます。その点、アンジェスの第1・2相試験は観察期間を52週間と長期に設定しており、より長期的な効果や副作用についてのデータが蓄積できると期待ができます。

なので、早期導入を試みる際には、リスクと利点を慎重に考慮した上で実施することが必要になります。

先ほど少し書きましたが、厚労省はアストラゼネカと基本合意に至ったとの報道がありました。

もしもアストラゼネカのワクチンがこのまま日本で導入されるとなると、相応な対応は必須です。

特に、日本は子宮頸がんワクチンなどを始めとして、ワクチンに対する嫌疑が根強く残っている文化でもあります。その中でこれほど副作用のリスクが高いワクチンを導入するとなれば、嫌悪感を抱くのみならず反発が起きることは必須でしょう。

それぞれのワクチンは、全く異なる性状を有しています。なので、それぞれのワクチンに対して、個別での検討が必要かとは思いますが、やはり「ワクチン」としてひとくくりに包括され、コロナワクチンへの嫌悪が尾を引いて他のワクチンへの反発にもつながらないかどうか、とても懸念しています。特に、小児への定期接種ワクチンである麻疹(はしか)などの予防接種を受けさせないような親が増加してしまうと、新型コロナウィルス感染症以外の面での健康被害が拡大することも懸念されます

国、そして厚労省の手腕が問われていると言っても過言ではありません。

大切なのは「適切に恐れ、適切な対策をとる」こと

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このブログでもTwitterでも繰り返し発信していますが、新型コロナウィルス感染症への対策の原則は、「適切に恐れ、適切な対策を取る」ことほかなりません。この原則は、ワクチンに対しても同様です。

最終的にどのような形でこの観戦流行が収まるのかは誰にも予想がついていないと思います。その中では、疾患についての正しい理解を持ち、正しい予防策を取ることが重要です。

正しい理解を持つとは、ワイドショーなどの煽りなどに対しても批判的な目を持ち、情報を取捨選択するということでもあります。そのような意味では、今回の私の記事に対しても批判的な目で見つつ、場合によってはもとの論文にも触れたりしながら私の言わんとしていることを解釈していただければと思います。

微力ながらではありますが、その手助けができるよう、私としても様々な形で正しい情報がみなさんの手元に届くよう、情報発信を今後も心がけたいと思います。

医学生であれ医療従事者であれ誰であれ、この感染症の早期収束を願う気持ちは同じです。

早く大手を振って飛行機に乗れる日が訪れることを願うばかりです。

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雲の上はいつも晴れ!

医学部って、苦しいけど楽しい!

以上、マイルで旅する医学生「ちっぷ」(@aiueo_tips)がお送りしました!

まだまだ未熟だけど頑張るよ!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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