日本の救急医療の現状 〜一般市民の助けで救命率は上がる!!〜

救急医療 医学部・医学関連
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 日本の救急医療が崩壊するという噂はまことしやかにあります。最近で言えば、医師の過重労働やそれに伴う退職事件などが話題になったこともあるでしょうか。
実際に日本の救急医療がどうなっているのか、今回も統計を紹介してみたいと思います。
 
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救急車出動の現状

以下のグラフは、「平成30年中の救急出動件数(速報値)」総務省消防庁から引用しました。
 
 
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平成 30 年中の救急自動車による救急出動件数は 660万5,166 件で、対前年比で4.1%増となり、過去最高を記録しています。
ここのところ10年あまり、伸び続けていますね…
 
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搬送人員は596 万 202 人でこちらも対前年比で3.9%増となり、過去最多となっています。
最も出動要件で多くなっているのが病気に対して、その次には外傷(怪我)になってきます。
 
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重症度別では、軽症、中等度の方が圧倒的に多いです。率はあまり変わっていませんが、全体の数が伸びているのでほとんどの患者層で人数が上がっているのでしょう。
個人的にはなんとも複雑な思いですね…
 

命が危ない「心停止」

このような出動案件の中で、命に関わる疾患としては、「心停止」という状態があります。心臓が動かなくなるので、全身に血が回らず、酸素を届けることができないので、とても危険です。
 
心停止については、医療従事者のみならず一般市民の方でも救うことができる可能性があります。
AEDを使った講習を、自動車免許の取得の際や、学校でみんなで受けたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 
ここからは、その方法というよりも、心停止の病態について簡単に書きたいと思います。
 

心停止とは〜

心停止は大きく、心臓に原因がある「心原性」と、心臓以外の身体の部位に原因があり、その結果心停止に至る「非心原性」があります。
 
心原性、非心原性心停止に陥る疾患の一例
  • 心原性:心筋梗塞、不整脈
  • 非心原性:外傷、消化管出血、代謝異常(高カリウム、薬物)
 
他にも病院内で発生する「院内心停止」、病院内で発生する「院内心停止」などといった区別方法もありますがここでは割愛
 
心臓は、筋肉が規則正しい電気の流れによりドクドクと規則正しく動いていますが、心停止になると、その電気的な(心電図)波形にも影響が出てきます。心停止の心電図波形は大きく4つに分けられます。
 
心停止、4つの波形
  • 心停止:assystole
  • 無脈性電気活動:PEA (pulseless electrical activity)
  • 心室細動:VF (ventricular fibriilation)
  • 無脈性心室頻拍Pulseless VT (ventricular tachycardia)
 
このような状態になると、すぐに心臓マッサージ(胸骨圧迫)を通じた蘇生術を行うことが必要です。
また、このうち、AEDにより電気ショックが有効となるのは、心室細動と無脈性心室頻拍の2つです。電気ショックをするかどうかの判断は、AED自身がしてくれます。詳しいことは以下のサイトにまとまっていましたのでご紹介します。
 
 
ただ、医療従事者でもない一般市民が何かをしたところで、どこまで効果があるの?と疑問に思われるかもしれません。
実は、一般市民の助けは、患者さんの救命率の向上に寄与しているというデータがしっかりと出ています!!
 
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総務省消防庁 「平成30年版 救急救助の現況」
 
特に、一般市民が目撃した心原性心肺停止傷病者の率は上がっているとされています。
 
これは伝聞の情報なのですが、一般的には心原性が半分くらい、そうでない可能性も半分くらいなところ、大人の方が町中で倒れるとなると、気道閉塞で窒息、などといったものは少なく、大抵は心臓になんらかの影響があり、心臓マッサージなどは有効とのことです。
 
見知らぬ他人となるとハードルが上がるかもしれませんが、身近な家族の方が突然倒れたときに、対処できるかできないかでは大きな違いかと思います。
もしも心配蘇生の講習を受ける機会などがありましたら、ぜひとも積極的に取り組んでみてください!!
 

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